大地窯(おおちがま)のヴェロニカさんの窯焚きが先日行われた。
ここまで来るまでが本当に長かった。 これは素焼きが終わり、本焼きのための窯つめ。 まさにこれから窯に詰められようとしている湯飲みなど。 お地蔵さんのように並んでいる。 わたしはこの窯つめを手伝ったのだった。 いやぁ、しかしたいへんだった。 ヴェロニカさんは今ではろくろを使わない。すべて手びねりでつくり、気に入らなければすぐ壊す。 ゆのみでも一日でせいぜい2個しか作れないから、その大切さをひしひしと感じているからこそ 誠心誠意お手伝いしたのだが、2個壊してしまったのだ。 自分がどういう動きをしたら役に立つのか? ヴェロニカさんのために次の動きを読んでいたりして、頭がフル回転。 また、足場の悪い傾斜を往復し、焼き物を緊張しながら運ぶので肉体的にも疲れる。 午後3時頃にはもう心身ともにへとへとだった。 失敗をしたのはそんなとき。 帰ってからも、なぜそうなったか?そのことの意味をずっと考えていた。 翌日も考え、ひとつの結論を導いた。 わたし:「娘が2年前に手伝った時も壊しました。今回は私が壊しました。 こちらのいたらなさもありますが、ヴェロニカさんのほうの課題でもあるのではないです か?」 翌日、話の流れでわたしはそう言った。 ヴェロニカ:「わかります。私もそう思っていた。」 なにげない日常の中に心に訴えかけてくることはある。 問いは、しばしばやってきて、錯綜とした中から手がかりがつかめることがある。 時には劇的なことさえも。 ヴェロニカさんとの関わりはそういうおもしろさがあること、心の琴線に訴えかけてくることが多いのだった。 今回私が学んだことは、言うべき時にはっきり言わなければならないことがあるということだ。 実はそれはヴェロニカさんにとってもそうだった。 ************************ そして本焼き 以下の写真は娘が撮ったものです。 わたしは仕事のためにあまり顔を出すことはできなかった。 娘は全日、食事当番にあたっていた。 ヴェロニカさんは、肉魚を食べないのでメニューもたいへんだ。そのうえ、窯焚きという 特別な日々の食事は一食一食が重要で、疲れ具合やどんなものを食べられるかを観察しながら 臨機応変に対処しなければならない。 おかげさまで食事はみなさんから好評でよかった。 娘も今回はたいへん学んだことが大きかったようで、これまでもそうだったと思うが、それ以上に感動的でもあったという。 ここからは、薪がなくなり、もう終わろうとするところ。 カメラマンが間に合わないので、娘が急いで帰ってきて、ひったくるようにカメラを持ち去った。 赤松の薪をくべている。 くべているのは、府中のF造園さん。F造園さんはこの近くに資材置き場兼 道楽で創っているすばらしい庭がある。以前から窯焚きに興味があり、手伝いをかってでてくれたのだった。 ヴェロニカさんと同い年、60代後半というのにすばらしい身のこなし。 角のような炎 温度は1200度を超えている。 窯焚きが終わり、疲れもピークを越えているだろうに晴れ晴れとした顔 満身創痍、ほとんど不眠不休の1週間、やることはやった。あとは祈るしかないのだ。 すべての口を閉じ、灰で隙間を埋めているところ 後ろにいるのは林業のFさん。薪割りでたいへん活躍してくれた。 蓮も見ていた。 ********************* 大きなアクシデントもあったのだが、でもとにかく、いいものができているとの娘の伝。 展示会やります! 「土の音 - sound of earth-」 2010.10.9(土)ー 10.24(日) ※24日はヴェロニカさんのバースデー! 11:00amー7:00pm (月曜定休) 初日pm5:00よりお茶を飲みながら笙の演奏をお楽しみ下さい。 ヴェロニカ・シュトラッサーの在廊日は 9(土)、10(日)、16(土)、24(日)です。 上記以外の日程で彼女にご面会を希望される方はご一報 ください。 メールはこちら→oochigama@excite.co.jp 会場:「LIBRE」 〒113−0031 東京都文京区根津2-29-4 (東京メトロ千代田線根津駅より徒歩5分) tel.03-3827-1925 今回はギャラリーのご厚意で3週間の展示です。
by sakillus
| 2010-09-27 22:22
| 自然物
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Comments(11)
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fairyhatskyoko at 2010-09-27 22:44
すばらしい記事ね
すばらしい展示になるね ぜひ、行きます!! 我が家の庭、昨日から始まりました
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sakillus at 2010-09-28 08:48
kyokoさん、いえいえ。^^;それほどでもありませんが・・
まぁ、いろいろおもしろいことがありました。 すばらしい展示になるといいなぁと心からおもいます。 ぜひ足を運んでください! kyokoさんのお庭、わたしもたのしみだわ! おにぃちゃんによろしく。
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seedbook at 2010-09-28 15:29
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sakillus at 2010-09-28 21:23
seedsbookさん、そうですね、たぶん最終日などはきっと行くとおもいます。残った焼き物を運ぶのではないかとおもいます。
その頃東京にいらっしゃるんですね! なにかわかった時点で連絡できるかぎりしてみます。 ありがとうございます!来ていただけたら本人も喜ぶとおもいます。
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すみごん
at 2010-09-29 07:01
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ヴェロニカさんが手を合わせている姿、ステキですね。
sakiさんの暮らしぶりをブログで拝見したり、ヴェロニカさんの お仕事を拝見したりしていると、「地に足をつけ、自分の道を 行くというのは、こういうことなんだなぁ」と羨望まじりで 思います。 前回は行けなかったので、展示会にはぜひ行きたいと思っています。 楽しみ!
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kabumi
at 2010-09-29 11:19
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sakiさん、こんにちわ^^とてもとても感慨深い、ぎゅ~っと惹きつけられてしまいました!言葉にしてしまうと…何故だか軽くなってしまうのだけど…sakiさんも娘さんもお手伝いされる造園や林業の方々もベロニカさんも「ひとつに…幸せです。」心の琴線に触れる、私も色々な所で感じます。勿論sakiさんが今回感じた事を読んでいても…感じました。大事な事ですね…有難う^^
1200℃まで上がった炎の角、美しいですね…ここまで温度をあげる事、保つ事…灰で蓋をして開けるその時まで、「みんなひとつ」。 皆、とてもいい顔をしていますね…醒めた窯の中からは、沢山の温もりのモノが出来てくれたんでしょうね^^
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kabumi
at 2010-09-29 12:06
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そう!
「蓮も」!!! 見守ってくれてましたね~^^。 sakiさんの詠まれる文章は、タンギングのように符を感じて音楽のよう…。「蓮もみていた…」ほんと可愛らしいな^^…すばらしい展示会になりますよう願っています^^***追伸、ベロニカさん→ヴェロニカさんでした…^^;すみません***
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sakae
at 2010-09-29 17:04
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何時になく何度も読んんで何日も考え込んでます。
ソレを生業とするものはコレ生きがいとすべし、ただの金儲けでは無い。 あなたは人さまのためにソレで何が出来るか 行間からそんな言葉が伝わって来ていまだに答えがコメントが出来ません。
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sakillus at 2010-09-30 08:40
すみごんさん、おはようございます。
娘もいい瞬間に出会えてよかったとおもいます。 最後の薪をくべ終えてとてもほっとしているところでもあったようです。 いやぁ・・すみごんさんこそ、わたしから見れば視点の定まった方とおもっていますが。 きのう見に行ったのですが、今回のはこれまでにまして良かったです!なんというか、ステージがあがったという感じで。 それに音が、触ると高温のさらさらっとした音がするんです。 ぜひふれてみてください。
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sakillus at 2010-09-30 08:57
kabumiさん、コメントありがとうございます!
kabumiさんにそう感じていただけてわたしもうれしいです。 ここに来るまでに本当にいろいろたいへんなことがあったのですが、 そう、いろいろアクシデントがありました。 でも、焼き上がって今それをおもうヴェロニカさんは、なんのために 今年、様々な試練のようなことが次々と襲いかかってくるのがわかりました。 それをひとつひとつ越えてきて、今それが焼きものの結果に現れました。それはわたしにとっても感動的なことでした。 kabumiさんの日々の暮らしの中で感じているのですね。 何が大切かを感じ取れるかどうかで人生はかなり違ってくるとおもいます。また、そうできるように自分の感受性を高めておきたいものですね。 この蓮はうちの蓮を去年株分けしたモノなのですが、よ〜く咲きました!葉っぱもうちよりきれい。^^; タンギングということばを知らなくて、さきほどちょっと調べました。kabumiさんは演奏をなさる方なのかしら? 音楽のようにことばが流れたらいいですよね〜。遠いまなざし... 展示会のことも応援?どうもありがとうございます! そうなるといいです、本当に。
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sakillus at 2010-09-30 09:41
sakaeさん、何度も読んでくれたのですね。ありがとうございます。
人にはそれぞれおかれている立場がありますから、なんとも言えませんが、客商売の場合はいい仕事をするにつきるのではないでしょうか?それの対価としてお金をいただくのは罪なことではないとおもいますが。 ヴェロニカさんの場合は、お金のためではなく、土のためとか、木 のためとか、一言では言えないほかのこともあるでしょう。 私にもお金は必要です。でも、とにかく仕事ではできるだけのことはする。これはいつも心がけていたいです。
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