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ハンナ・アーレント
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ひとりの男が夜道を歩いていた。
そのとき突然やって来たトラック、降りてきた二人の男に連れ去られる。
連れ去ったのはイスラエルの諜報機関‘モサド’、連れ去れた男はナチス親衛隊のアドルフ・アイヒマンだった。


この映画ハンナ・アーレントは実在していた哲学者、ハンナ・アーレント (1906~1975) のある一時期を抜き取り凝縮させた映画である。
後に米国の国籍を取得するがドイツ系ユダヤ人であり、パリに亡命した時期には強制収容所に連行されながらも脱出に成功し一命を取り留めた経験を持つ。

その後、夫らとともにアメリカに亡命し英語を学び「全体主義の起源」を上梓する。

映画はそのアーレントの、アイヒマンが逃亡先であったアルゼンチンで捕まりイスラエルで裁かれるのを傍聴し、彼がどのような人物で、悪とは何かを思考することが核となる。
実際にあったこと、つまりノンフィクションであるが、マルガレーテ・フォン・トロッタ監督の時代を超えたハンナ・アーレントへの対峙であると感じた。

アーレントの論文は「ザ・ニューヨーカー」に発表され後に本になるのだが、世間の人々、特にユダヤ人が期待していたものとはかけ離れていたため、多くの人々はそのことを受け入れることができず、彼女のことを反ユダヤであると非難する。
当然のことではあるが多くの人々は、ユダヤ人600万人をガス室に送った張本人、ユダヤ人輸送の責任者であったアイヒマンを悪魔的な怪物のような男ととらえていた。が、アーレントの見たアイヒマンはそうではなかった。
命令に従う単なる小役人だったのだ。
裁判官の質問をつまらなそうに聞くこの男には、良心もモラルも動機も信念も邪心も悪魔的な意図もない、反ユダヤでさえなかった。(裁判でのアイヒマンは当時の本当のアイヒマンの映像が使われている)
総統への忠誠、規則や命令を守ることだけが彼の行為の指針となっていた。
完全に思考停止したもの、それは人間であることの否定でもある。

それからもうひとつ、アーレントが強く攻撃されたことの理由は、ユダヤ人指導者の中にアイヒマンに協力したものがいたということを公表したことだった。
それは裁判の中で発覚したことだったが、アーレントは事実を伝えることにためらいはなかった。

思考停止した人間の、悪意さえない悪のことをアーレントは『悪の凡庸さ(陳腐さ)』と名づけた。思考を停止させ判断をなくした人間が残虐行為に走るのだ。その凡庸な悪がどこにでもあることをー仮にアイヒマンが任務を拒否しても代わりの人間がいて同じように執行されることはあきらかだった。—わかってしまった。アーレントの苦悩は深く、その後も「悪」とはなにかを生涯のテーマとしたということである。

では、そうやって思考を停止させ人間の大切な質を放棄した者に対して我々には何が有効な手段となるのか?
アーレントは言った。「考えることで人間が強くなること、危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅にいたらぬよう。」


きわめて今日的テーマである。アイヒマンを我が国の総統、アベという男に置き換える想像を許してもらえるだろう。(石破や麻生は確信犯なのでべつ)
彼は知的でもなければ日本をよくしたいという信念もない。ただ「使える男」であることだけは確かなようである。
そして、残念ではあるが、保身のためなら我が国を崩壊させてもかまわないと思える輩が政権を担い、国民を馬鹿だと思い、だから秘密は優秀な我々が握ってさえいればよいと考える官僚がいて、民主主義が否定されているような今国会運営が成り立っているのは、凡庸な悪があまねくひろがっているからである。

その茫洋たる地平にめまいを感じるのはわたしだけではないだろう。

わたしは十代の頃から、規則だからということで、それがどういうことで、なにをもたらすことかを考えもせず守る人のことを軽蔑していた。だからこの『悪の凡庸さ』という定義に深く共感する。
それは愚かさと言ってもよいだろう。

僭越ではあるが、ハンナ・アーレントを見事に演じきったバルバラ・スコヴァ、難しい問題に深く切り込み見事な手法で優れた作品に仕上げたマルガレーテ・フォン・トロッタ監督に敬愛の念を送りたい。



  ☆「ハンナ・アーレント」は東京では岩波ホールのみの上映で12月13日(金)まで。
   その後全国展開されます。興味のある方は是非!



追記:映画の中でイスラエルのシーンにおいて、黒い服を着て小さな黒い帽子を被り、髪を伸ばしている人がときどき写ります。彼らに対する言及はありませんでしたが、彼らこそ正統派のユダヤ教徒です。彼らはとても敬虔でユダヤ人が国を作ること、イスラエルを建国することに最も反対していましした。シオニストとは対極にあるような人々です。平和主義な人々です。
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by sakillus | 2013-12-06 00:06 | 人物 | Trackback | Comments(6)
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Commented at 2013-12-06 09:25
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2013-12-06 09:31
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sakillus at 2013-12-07 00:44
鍵コメさん、ふぅ〜っ。
今夜は国会内と外の中継をずっと見ていて、さきほど案の定法案が可決されてしましました。

本当にそうですね。私たちは生きているという実感が持てています!
たとえ今日のようなめちゃくちゃな法案が通って、自民党こそがテロをやっているこんなひどい状況であってもまだわたしたちは生きていてそれを感じることができている。

わはは、わたしも、、わがままという言葉だったかどうかは忘れましたが親兄弟からは「やると決めたら絶対通すんだから。」と言われていました。
今ではさすがにそうでもありませんが、根本的なところはそうは変わっていませんね。
でも、年を取ってよかったなぁと思えることは、そういう自分やまわり(世界)のことを少しは俯瞰してみれるようになったことです。

どうぞその願いをみなさまで叶えてください!
お父様もきっと励みになっていることでしょう。


Commented by sakillus at 2013-12-07 00:44
今日は忘れられない日になってしまいましたが、自分の(小さいかもしれない)この闘いはこれからの世代の人々のためでもあります。
ということで娘とみくりの写真を貼って気持ちを盛り上げています。

だってどう考えてもわたしの若い頃のほうが社会環境としてはよかったですものね。
50を越えたわたしたたちは放射能の影響を受けたとしても多少寿命が短くなる程度でおさまるかもしれない。おさまらない人もいるでしょうけれど。
わたしの世代の人たちにはもっと声を上げてほしいと思っています。
Commented at 2013-12-07 09:24
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sakillus at 2013-12-07 10:19
鍵コメさん、忘れられない日

12、6・・・666  悪魔の数字と一致しました。

こういうことをよくやるのです。



強い心になるよう鍛えましょうね!お互い。意思の力は強いはず。

落ち着いていけます。大丈夫。^^。
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