ROSASOLIS

カテゴリ:文化伝承( 4 )
遠山郷 霜月祭 2
霜月祭では湯立て神楽というのが執り行われる。かまどが本殿のほぼ中央に設えてあって、薪によって火が焚かれ鍋の水を沸騰させる。
奥から面を被った演者が登場しかまどの周りをぐるっとゆっくり回るのだが、その動きは不規則で役によって異なる。最後の方では。かまどでふつふつと煮えたぎった湯を素手で叩いてしぶきを上げる。そのしぶきは周囲に広がり観客の方へもかかり清めとなる。やはり火と水というのは重要なのだなぁと思う。

万物万象の五大元素の〈地・火・風・水・空〉のうちの〈火〉が想像力の活性化、何かを遂行する原動力となり、心を熱くし、性エネルギーの活性化、生きる力の喜び、明るさ、初が、成長させ開花させ熟成させる力や直感力を引き出す力であり、知性でもある。そして〈水〉は、浄化、平和、安らぎ、潤滑、すべてのものを一つに繋ぎ広げ調和する、安定感がある。(森井啓二 「君が代」より)

私たちが入場した時はすでに面が登場する祭のメインイベントとも言える頃合いになっていた。
残念ながら本殿の中はそう明るくはないので、写真はほとんどぶれていた。コンパクトデジカメ、オートで撮ったのだけれどシャッタースピードが遅くなりすぎてダメだった。

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これは四面(よおもて)と言って4人の若者が面をかぶり神様となり、4人(4柱)がスクラム組んでぐるぐる回ったり、一人(1柱)ずつ受けてのところに走って行きくるっと背中を向けてダイブしているところ
これは盛り上がるところで、何度もやり、観客と演者の距離が一層近くなる場面だ。

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若者たちは「ほら、よーせっ!ほら、よーせっ!」の掛け声に合わせ、遠慮することなく力いっぱい体を投げる。本来祭には蕩尽の意味もあり、それがある時にはやりすぎになり犠牲(死)を以って供物としたり、荒くれになったりするのだが、ここ遠山郷ではそうはならない、エネルギーの発散はあっても無頼にならないのは、ここの民が優しいからなのだろう。

通奏低音のように流れる笛と太鼓、若者たちが観客に近いところで吹いている。太鼓を打つのは長老組か。
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 「大国様という人はもとより日本の人じゃない〜」とまわりで歌う
「唐から日本へ渡るとき〜」と続く

他に、榊を束にしたものを観客に振り下ろしていたバァサとか好きだったのだけど、写真がダメで残念!

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体を低くして特徴的な舞をする「お狐様」あるいは「稲荷」と呼ばれるこの神様は熟練の舞で大好評だった。
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ちょっとぶれてわかりにくいけれど「水王」
鍋の熱湯を素手で払いのける役
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もっと派手に湯切りして欲しかったけれど、私にもちょっとしぶきはかかったぞ、よしよし。
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何故に紙を口にくわえているのかわからないけれど「天伯様」
神々を追い払い、東西南北中央の五方鎮めるとある。
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長老組が刀を振りかざし、かまどを切る仕草
いよいよラストの場面


ということで限られた本殿という室内での祭りは、村人「縁者」とみるものの距離が近く一体感がある。
小劇場を思い出すようだった。写真で見せた限りでは怖がってみたくないと言っていたミクリも場内に着くとパッと目を覚まし楽しんでいた。迫力ある祭りはユーモラスさもあり土着的で根源的なさまが味わえてよかった。
外では満天の星が輝いていた。


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  番外

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これは何かというと・・・・・ソリです。

More ソリ遊び
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by sakillus | 2017-12-18 01:19 | 文化伝承 | Trackback | Comments(0)
遠山郷 霜月祭 1
遠山郷は長野県飯田市上村・南信濃、南アルプス西側の深い谷間に位置する。周囲と隔絶されたというと今ではそういうわけでもないだろうけれど、鉄道に乗るにも山を越えなければならない土地は道路が整備される前は行き来も大変だったろうから極力自給自足だったのだろう。狭い山間の土地を段々畑のように開墾した風景は郷愁も誘うけれど、人の営みの苦労を物語る。

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http://tohyamago.com

霜月祭
のことを知ったのは今からもう15年以上前のこと、当時民俗学に興味を持っていた私は図書館や本屋で目に付いたものを手当たり次第見ていた。特に写真はわかりやすかったら写真集はよく見ていた。美しい女性の面が表紙になっていたそれを見た時は衝撃が走り幾多の面が登場するそのお祭りにはとても興味が湧いていた。しかし、遠山郷は遠く、旧暦の霜月というのは新暦では12月になる。その頃は仕事の有無を言わせない忙しさが私を押さえつけていた。そのうえ南アルプス山麓の深い谷間にあるところなど雪深いのではないか、車はチェーンをつけなければいけないようなところではないかと勝手に決め込んでいた。何年もこの祭りのことは封印され、消されそうなかすかな望みのようになっていたが、今年は行ける可能性が見えていた。

夏にキャンプを兼ねて下見に出かけた私たちはそこが祭りの頃、少なくとも12月の半ば前ならばほぼ積雪はないことがわかった。

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霜月祭は、近年まで12か所(13社)であったが、現在は9か所(10社)で伝承されている。
旧暦霜月には必ず冬至が含まれる。1年のうちで最も日照時間の短く太陽の力の最も弱まるこの季節に霜月祭を行うことで、万物の生命の再生、清まりと新たな生まれに願いを込める。

祭は日中から夜を徹して行われる社と夜中に終了する社とがある。本来はどこも夜を徹して行われていたものと思われる。
太陽が沈んだ後長い夜を越え翌朝の新たな太陽を迎えることで新たな生まれを感じることとなるのだろう。今では珍しいディープな祭は国の重要無形民俗文化財に指定されている。また宮崎駿はこの祭に感銘を受け、「千と千尋の神隠し」はこの祭がベースにあるという。

霜月祭は、言霊信仰に基づき、詞や神歌によって進行する。ことのはの力によって清めた祭場に全国の大社や地域の神々を招く。お清めの舞や詞、神歌にはそれぞれ意味があるようだが、私たちはそのあたりは見ていない。神様がおいでになった後の行事を見たのであった。

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私たちが見たのは木沢 正八幡神社でそこにはかまどが3つありゴージャスだ。
かまどの上には多種類の紙飾りがありそれらも意味があるようだ。

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これは四面四番 猿田彦命 の登場の場面


    つづく
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by sakillus | 2017-12-15 01:31 | 文化伝承 | Trackback | Comments(2)
LABO 味噌仕込み
先週穏やかな休日、月は新月の日に少し前につくった麹を使って味噌の仕込みをやりました。

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このもふもふの麹、思った以上のできあがりです!
これは玄米煎り麹

プロの麹づくりにはほんの数%灰を混ぜるのだそうで、
私たちが使った炭焼き窯には灰もあるし、炭も見えるか見えないかレベルでもある、ということは微生物が繁殖するに良いと言えます。
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そのうえ炭焼き窯の内部はドーム型、球を切ったような形なのでなにかをかもすには理想的な形です。
ものはすべて眼には見えなくとも分子レベルでは振動しており、もの同士の振動のひびきあいには
もってこいと言えるのではないでしょうか。

工房の主である友人のケンジロウは仕込んだ麹に灰をまぶすより、窯の内部で炭を炊くことにより
均等に灰がかかると考え、それはうまくいきました。

玄米は麹菌の繁殖にむずかしいとプロでも言うものをこうもうまくいくとは、まさに驚きでした。
玄米を発芽玄米にしていることや鉄鍋で丹念に煎っていたこともよかったのでしょう。

玄米は白米より麹菌の繁殖は難しくても、その後味噌の大豆を分解しうまみ成分を出すためにはタンパク質が必要であり、そのために栄養分の薄い白米より玄米のほうが優れているという考えがありました。

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手前は麹をほぐしたもの

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薪ストーブで蒸された大豆は臼の中でつぶされます。
二人組になって調子よくするといいんですよ。
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つぶされた大豆、この状態で食べても甘くておいしい。
大豆は近隣の津久井産(だと思う)
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麹に塩をまぜた塩きり麹と大豆を混ぜ合わせます。

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桶の中に丸くしたものを投げつけるように入れました。
これはこのあと陶器の瓶に移され、自然の中の秘密の貯蔵庫に寝かせられたようです。
動物に開けられなければいいのだけれど。

だいたい2つの薪ストーブで蒸し器3台 × 2でやってますが、
量があるので夕刻までかかりました。
その間にくんせいをつくったり、シカ肉のスープをつくったりお祭りのようなものなので
愉快に過ごしています。
今回は若い方もけっこういてそういう人に体験してもらうのはうれしいことです。
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高校2年生の女の子とか手前の子は小2だったり。
うちの娘も中学校ぐらいからこうやって大人の中に入っていろいろやってい
て、それは彼女の人生に大事な経験でした。
だから、若い人たちにも後年いい経験になるといいなぁと思います。
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薪もたくさんつくらなければなりません。
Fちゃんは20代で、いつもきものを着ているユニークな人です。
木枯らし紋次郎みたいだねって言っても知りません。

ということで、仕込みが終わり、さて、秋にはどうなっているか、楽しみです!
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by sakillus | 2017-03-04 22:19 | 文化伝承 | Trackback | Comments(6)
LABO 麹仕込み
わたしたちはもう何年も味噌を手作りしていますが、やり始めたのはもう20年ぐらい前のこと、途中中止の期間もありましたが、近年また復活してやっていました。
これまでは、私個人的には自分で麹をつくったこともありましたが、大々的に全体で麹を仕込むことは
今回が初めて。いよいよパワーアップしたLABOの味噌づくり。

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これは工房に隣接してある石釜の炭焼き釜、長らく使われることのなかったこの石釜を利用して麹を熟成させようという試みです。
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麹を熟成させるには適度な温度とかなりの湿度が要求されます。
温度は30度前後で、湿度は正確ではありませんが80%以上?
ちょうどお風呂のような環境が適しています。
窯の内部はけっこう広いので程よく暖めることもたいへんです。

この日は朝から暖め班ががんばっていました。炭で暖めているので、一酸化炭素中毒にやられた仲間もいました。ひゃぁ、デンジャラスです。
その使った炭もかつてこの石釜で焼かれた炭が使われたということです。

麹に使う米は白米じゃありませんよ。
1週間前から仕込んでくれた発芽玄米、3分搗き玄米、それに釜煎り玄米という強烈なラインナップ!
ドキドキ うまくいくでしょうか。いや、この仕事はきっとうまくいく、そうさせるという強い気持ちはありました。

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これは米を蒸しているところ
この小さなストーブは効率よかったが、時間はけっこうかかりました。

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これはホイロというもので、お茶をつくる作業、手もみをする道具です。
お茶を煎るには遠火でゆっくり手もみする必要があります。
それももう20年近く前やったこと。このホイロがまた日の目をみようとは!
なんだか感無量
わたしたちは、日本に伝わってきた民間の重要な文化を伝承させようとしていたのです。

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蒸し上がった米をこのホイロの中にいれてさまします。
40度ぐらいになったところで種麹菌(粉状になっているもの)をふりかけてまぜます。
まぜているうちにぽろぽろな状態からやや粘り気が出てきました。
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このガン状のものは温度計で赤外線で瞬時に測れるのでありました。
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長い木の箱(じつは桐のタンスの棚でした)に3センチ以内になるよう平に乗せて
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石釜の中に入れます。

こういった作業を9回ぐらいやりました。なにしろ20kgのお米を使うのです。
最後はすっかり暗くなる頃になりましたが、終わった時は静かな充実感がありました。
最後まで集中力がとぎれなかったのがよかった。

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これは釜煎り玄米だなぁ。かもせ〜、かもせ〜!

だいぶ前から計画し1週間前から米の仕込み、薪割りや窯の保温、保湿、
いやぁ、すごいエネルギーを注ぎ込んでいるのだもの、失敗させませんよ。

その後、わたしは行けませんでしたが、米は自らの発酵熱で40度ぐらいになり、窯の内部温度は28度、湿度は80%ほどにキープしたといいます。
そして、仕込みの2日後、現地からの報告で順調に醸成しているとのこと!
中には麹菌が米を板状にかたまらせるぐらいになっているとのことで、感極まりないです。
お疲れさまと心から言いたい。


そして、次の作業、いよいよ味噌仕込みは新月の日

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by sakillus | 2017-02-14 22:13 | 文化伝承 | Trackback | Comments(0)