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母の結婚 2

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ヒメシャラの新芽がほころびかけています。
白いそれは小さな灯りのようです。


母の背中の痛みもだいぶ楽になり、頭のケガは化膿することもなく、順調に
経過しています。頭というのはずいぶん治りが早いものなのですね。
当初の予定よりだいぶ延長しましたが、きのう無事に母を実家に送り届けました。皆様ご心配をおかけしました。そして、どうもありがとうございました。

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Reve d'Or の新芽の展開。
これもすばらしいです。

         **************************************************

そうして父の役にたった母であったが、ふたりはほどなくして結婚したという。
それにしてもその頃の母の気持ちはどうだったのだろう?
たいしたことではないと思っていたとはいえ、やはり大金である。
そこであらためて問う。

私 「もし、ありがとう、ではさようならと去ってしまったらそれでもいいと
おもったの?。」
母 「それは思わなかった。そのまま去ってしまうような人には思えなかったもの。」

父にはその時、母のことを天使のように見えただろうか?
お地蔵さんのように見えただろうか?(どちらかというとこっち)

誰かが誰かに何かをしてあげるということを考えさせられた。
母の行為はわたしにはできないだろうし、理解もできかねることでもあるが、
母にとってもそのようなことは一生のうちでもほかにできる時は
そうあるものではなかったろうとおもう。

できるか、できないか、するか、しないかということはいろいろな条件が整っていたからともいえるし、
それは、偶然のようでもあるが、うまく用意されていたことのようにも思える。
誰かが誰かのために何かをするということは、それがたいしたことでないことでも、
相手のことを考え心を傾けることである。
それはやはりたいしたことであるとおもう。

娘が素直な質問をぶつける。
娘 「おじいちゃんはもてた?。」
母 「もてたんじゃないの。」

事実、父は結婚後もそこそこもてたようであった。
おしゃれで身だしなみにも気をつけていた。家でくつろいでいるときでも
だらしないとかみっともないとかのない人だった。
父の母(祖母)ゆずりの端正な顔立ちと品の良さは老いても健在で実年齢よりも
10才は若く見えた。(わたしは、祖母ー父のラインからははずれている。)

それにひきかえ母は美人ではないし、気だてが良いかというとそうでもない。
気の利いたことができるわけではない。
趣味は「いなご捕り」というのだから、やはり田舎の人だなぁとおもう。

ただ、わたしがおもうに母のおもしろいところは、(人間以外の)動物っぽくもあり、
植物っぽくもあるところだとおもう。
策略ということからほど遠いひとなのである。
未来を考えるというより、その時その時感じることに忠実なひとなのである。
(年をとったせいもある。だからいっそう)
それは社会生活を送るには有能ではないかもしれないけれど、ある種の清々しさがある。

ということも今回いろいろ母と話して感じたことなのであるから、わたしは娘として失格であるとおもう。
母のケガがなければ、母といろいろ話さなければ、母は結婚のいきさつについても
生涯誰にも話さなかったかもしれない。
なぜ今まで話さなかったのか?
「だって、話す必要なんかないものね。」
べつに父に口止めされていたわけではない。
男性のメンツを考えるとうことは少しはあったかもしれないが、
母にとってはそのことを誰かに話し、話すことで満足したり、
自分の価値を認めてもらうことの意味はなかったのである。

私 「お父さんとの結婚生活はたのしかった?」
母 「たのしかったよ。」
私 「お父さんは優しかった?」
母 「そりゃぁ、そうだよぉ。」

この言葉を聞いて私は目頭が熱くなった。
母を植物にたとえるなら、路傍のどこにでも生えているすみれのようなひとだとおもう。
風に吹かれて小さく揺れているありふれた薄紫のすみれである。
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by sakillus | 2009-04-05 00:28 | Trackback | Comments(12)
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Commented by ぴぴん at 2009-04-05 09:32 x
>他人にはおそらくなにも意味のないことがらです。
と、書いておられるけれど、わたしにとっては何やらこころが揺れ動く話です。
もちろん、sakiさんにとっての意味の深さとは違うと思いますが、
他人の私でも、何かをいただく感じがします。

実はわたしも二月に父から祖父母の話を聞いて、
近々記事にしようと思って準備してます。
わたしのは、資料を元にした話になってしまうのですが。
そんな状況だから、sakiさんのご両親の話も響くのかもしれません。

何はともあれ、お聞かせ下さってありがとうございます。
Commented by seedsbook at 2009-04-05 17:11 x
素敵な話を読ませていただきました。
ありがとうございます。
淡いムラサキ色の菫のような人。。。と言う一言からお母様の様子が目に浮かびます。きっと自然に生きている方なのでしょう。それはなかなかできない事でありますね。
まだまだお元気で自然を楽しまれますように。。。早くすっかり元気になられますように。。。
Commented by sakillus at 2009-04-05 18:06
ぴぴんさん、読んでくださってどうもありがとうございます。
親しい者の記憶を残したい気持ちって何なのでしょうね?
わたし自身は自分の死後、誰の記憶から忘れ去られてもかまわいとおもうけれど、
親しい者の記憶はやはり残したい。それは自分の存在証明にもかかわるのかもしれません。
でも、以前ぴぴんさんには、わたしは生まれ育った家族との縁はそう深くはなかったということを
お話ししたかもしれないけれど、それが今回このような展開になって、話を聞けて、誰のためにも
良かったとおもいます。

ぴぴんさんも似たようなことがあったんですね。
なんだかおもしろいですね。
では後日記事をたのしみにしています。^^。
Commented by kaffe at 2009-04-05 18:11 x
年を重ねるごとに、家族のつながりや人間関係を意識し始めるのかもしれないと感じました。
お母様 素敵です。一本筋が通っているような、真っ直ぐなお人柄を思い浮かべます。
私はまだ、日常生活をバタバタと慌しく過ごしているだけで、子供や夫、両親を
深く感じるときが少ないように思います。
でも、何かの機会をきっかけにして、無い頭で少し考えてみたい気持ちになりました。

穏やかな気持ちになれた お母様のお話、ありがとうございました。

そしてsakiさんも ちょっとお疲れ(?)様でした。
Commented by sakillus at 2009-04-05 18:12
seedsbookさん、読んでくださってどうもありがとうございます。
母はそうですねぇ・・・自然に生きているかもしれません。年とともにますます。フフフ。
人間はいろいろな思惑がおこるのが普通だとおもうのですが、ときどきそんなことが疲れます。

お気遣いどうもありがとうございます。
母もこの滞在では山の風景や庭をたのしんだようですし、食欲もあり、少し太って帰りました。^^。
Commented by sakillus at 2009-04-05 21:43
kaffeさん、読んでくださってどうもありがとうございます。
家族とのつきあいもいろいろな時期がありますよね。
わたしなんて親不孝というか、あまり密には接してこなかったですし、父は十数年前には
他界しているので、もっと聞くべきことも聞いておかなかったという悔いがあります。
母は、いやぁ、そんな・・・素敵というわけではないですよ。ははは。のんびりしている猫のような
ものなので。
kaffeさんの日常は今が一番忙しいようなものじゃないですか。
それでも本当によくやっていらっしゃるなぁと感心しています。
子供の小さいうちはなにかと慌ただしいとおもいますが、それでも日々感じていらっしゃるとおもいますよ。
うちは今聞いておかないとね。
今回は殊勝にも少しは親孝行しようと素直におもえました。^^。
Commented by クミン at 2009-04-05 22:17 x
sakiさん、こんばんは^^。
先日からご両親の出会いから結婚までのお話を聞かせていただき、有難うございます。
sakiさんは良いお母さんを持たれましたね。
最後のお母さんの言葉には私も一緒に目頭が熱くなりました。
ふふふ、更年期は涙もろいのだ~。

ここではっとわが身を振り返ると、私と夫の出会いから結婚までの話を聞いて目頭を熱くする人はいないだろうなと思います(笑)。
結婚後も仕事がらみで戦いの連続でしたので、楽しかったとか優しかったとか、絶対に言えそうにないです。
同業者との結婚は絶対に止めろと、クミンめから子孫への伝言です^^。
Commented by sakillus at 2009-04-06 17:42
クミンさん、こちらこそ読んで頂いてどうもありがとうございます。
母も良いことばかりではなかったはずですが、今こう言えるということは良かったなぁと思います。
人の価値って見方が変わると変わるものですし、今まで気づかなかったことがわかっても
変わるものですね。
わたしもこの母のこどもであって良かったのかなぁなんておもいました。
じゃぁ、今まではおもわなかったのかというとそういうわけではないのですが。
親って欠点があってもこどもはそれなりに育ちますよね。
わたしなんて欠点だらけだから・・・あはは・・・こどもは反面教師になります。

>私と夫の出会いから結婚までの話を聞いて目頭を熱くする人はいないだろうなと思います
すみません、ここ、吹き出してしまいました! いやぁ、そうですか?
おぉ、厳しい仕事場が想像されますが、でもね、将来はわからないですよ。^^。何というか。
Commented by クミン at 2009-04-07 10:43 x
sakiさん、おはようございます。
笑ってもらえて嬉しいです^^。
この話、今後は私の鉄板ネタ(絶対に笑いがとれるネタのこと)にしようと思います(笑)。
Commented by sakillus at 2009-04-07 16:07
クミンさん、こんにちは。^^。

フフフ、家族ネタで笑いをとって、家内安全、商売繁盛、笑う門には福来たる〜、ですね。

クミンさんのまわりには鉄板があふれているのでしょうねぇ。^^。
Commented by YOKO at 2009-04-14 09:36 x
おかあさまの記事、すぐにコメント残そうと思ったのですが今になってしまいました。
まずは、お元気になられてよかったですね。
結婚のいきさつ、あまりに共通点があっておどろきました。

うちの父は同じく戦後の混乱期、東北から九州の軍港にやってきて
母が住み込みで働いていた旅館に滞在中に母と出会ったのですよ。
あまりに遠いところの人だと、互いの親から猛反対を受けて
結局父が九州に残って結婚し、その後30年以上里帰りできませんでした。

その話は私も父が亡くなってから(それもずいぶん経ちますが)母から聞きました。
sakiさんもお話が聞けてよかったですね。
すみません。 
自分にちょっと時間が取れたからと、今になって書きたくなってしまって。^^;

sakiさんも筋肉ついてきました? 仲間が増えてうれしいです。(笑)
大きな石や材木など、コツがわかれば案外動かせるものですよね。
なんといっても自分でやれると気分がいいですね。
Commented by sakillus at 2009-04-14 14:31
YOKOさん、こんにちは。ご無沙汰しております。

YOKOさんも忙しかったのですね。
共通点がありましたか! お父様は東北の方だったんですね。旅館、そうですかぁ・・・
親ってあまり結婚のことは話したがらないのでしょうか。とくに父親は。
話聞けて良かったですよ〜!母は怪我という痛い思いもしましたが、それがなければ
さっさと帰ってこのことも話す機会はなかったかもしれません。
でも、母も年ですから今のうちに聞いておかないと、ね。

わたしもともとけっこう筋肉質なんですよ〜。^^v。そうは見えないですか?
YOKOさんこそきゃしゃに見えるのに〜!
でも、油断していると、(していなくても)贅肉もついてしまうのでなるべく体は動かそうと思っています。
>コツがわかれば案外動かせる
おぉ、YOKOさんがそうおっしゃると説得力があります。フフフ。
なるべくこの力をキープしたいものですね。^^。
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