炭素循環農法の考えでは肥料はあげませんが、なにもあげないというわけではありません。「食物連鎖から考えて、植物の食物は微生物」と言っています。
その微生物にもエサがなければなりません。 微生物には何をあげるのがよいのでしょうか? それにはこういう答えが返ってきます。 「完熟した堆肥中で微生物を育てるのに役立つのは、堆肥化の段階で微生物が食べ残した、難分解性のリグニンくらいです。あとは分解が終わったカスの肥効成分。肥効があるものは化学肥料と同じように施肥障害を起します。 堆肥でも土が良くなるのは、多少なりともリグニン等の食べ残しがあるからです。リグニンは土壌中で白色糸状菌(カビの仲間のキノコ菌等)により分解され、空隙率の多い大粒の団粒を作ります。そのため未熟堆肥ほど団粒効果(土壌改良効果)が高く、完熟化し窒素比率が高いほど効果が落ちます。 堆肥化しない未分解の高炭素資材(雑草、緑肥作物、オガコ、木材チップ、稲ワラ、未熟厩肥等)の炭素率(C/N比)を調整し投入することを一般的には、土壌改良と呼び施肥と厳然と区別します。微生物に餌を与え土の物理性の改善が目的だからです。土壌改良しかしないのが「炭素循環手抜き農法」です。」 (ホームページQ&A 1より) これは農業の話ですから、それをそのまま庭に持ち込むことはむずかしいとおもいます。 未分解の高炭素資材を庭にすきこむスペースはありません。 今わたしが考えられることは、生ゴミを完熟ではなく、未熟に堆肥化させ、 いくらか質量が少なくなったものを土に浅く埋め込むことでした。 また、良質のバーク堆肥もC/N比35以上(高炭素資材)ということで、 生ゴミ堆肥といっしょに混ぜ込むのも良いようです。 ところで、生ゴミ堆肥は去年の秋からダンボールで作っていましたが、 春になり暖かくなるにつれ、小バエが発生するようになりデッキに置いてあったそれを撤去し、 物置で床にじかに生ゴミを分解、発酵させることにしました。 しかし、冬に作る本格的な発酵肥料のように温度が高温になることはなく、 おそらく25度〜40度台前半を保っているようでした。 そこでは完熟堆肥をつくることはできず、未熟のままのようでした。 しかし、その方が考え方には合っているのです。 ただし、この生ゴミ餌も(なるべく)添加物の入ったものや分解不可能なものはいけません。 庭の微生物を育てることは人間の体を育てることといっしょ。 人間の腸内にも善玉菌と悪玉菌、それに一番多いと言われている、 条件次第でどちらにも傾く日和見菌があり、それを味方につけなくてはなりません。 それは庭の微生物にもいえることで、栽培にとって好ましい菌を増やすのはもちろんのこと、 どちらにも転ぶ日和見菌を良いほうへ働くように導かなければなりません。 とはいえ、どうすればよいかは手探りの状態です。 たとえば、餌を与える時を考えること、量を考えることなどは重要なことでしょう。 やりすぎないこと。推測でしかありませんが、そこにいる微生物が食べられるぐらいの量であることが大切です。 未熟・・・7分熟ぐらい? 生ゴミ堆肥 あやしげ。。。これで大丈夫でしょうか? これを梅雨も完全に終わったかなと思えた頃に地面や鉢土に薄く埋めました。 今年は雨が多かったので、そこいらで一回与えたほうがよいとおもったからです。 鉢土も中耕したほうがよいように思えました。 その2,3日後 白く菌が繁殖しています。 これはその後の雨で少し消えましたが、今でもまだ残っています。 埋めて約2週間後。鉢です。 このように新芽が好調にでてくれるものもあれば、そうでないものもあります。 今のところ、生ゴミ堆肥が悪影響を及ぼしたということはありません。 私が炭素循環農法に惹かれるのは、その長年の実践、研究に基づいた、土壌物理性をきわめて科学的に説明していること、合理的で資源を最大限に活用すること、有機栽培や無施肥栽培の盲点をついていることなど多々あるわけですが、 中でもとりわけ感心するのは地球環境の保全、改良に視野が向いているからです。 もっと強い言い方をすれば、現在私たち人間は、人間さえ心地よい暮らしができればそれで済むというわけにはいきません。 農業は最初の環境破壊であるとも言われますが、もちろん農業をやるからには、 なにか環境を変えなければならないことは当然ですが、 地球という大きな生命体やそこに生きるものたちと共存していくという視野がなければ、 この先人類の未来は明るくはならないでしょう。 わたしも一バラ栽培者として、バラだけが順調に育ってくれればそれでいいとは思えません。 また同時にかたよった考えではいずれ栽培が成功するともおもえません。 自分の庭は私が受け持っているスペースと考えること。 大地や大気は境界があるわけではありませんから、常に外界とつながっています。 そこにほんの少しばかりの責任を感じること。 わたし自身も微生物のように地球の長い歴史に よく関与できればいいなぁとおもいます。 Baronne Henriette de Snoy なかなかゴージャスです。 いつも咲いていつも枝を伸ばしている Mme.Georges Bruant
by sakillus
| 2009-08-22 17:26
| 栽培
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Comments(4)
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kaffe
at 2009-08-23 07:51
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sakiさん
おはようございます。 高炭素資材の話、面白く拝見しました。 リグニンなど、初めて聞く言葉ですが、生ごみ堆肥を完熟させない というのが 面白いですね。 私はまだ一度も自家製の発酵堆肥は作ったことありませんが、堆肥一つとっても いろんな解釈や考え方があるようで、興味は尽きませんね。 さてさて、無事に到着しました。 ありがとうございます。昨日(と言っても一昨日の夜中ですが)メールを送って おきましたが届いているでしょうか?
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sakillus at 2009-08-23 08:50
kaffeさん、おはようございます。
バラ栽培についてはまだまだ試行錯誤です。^^; 高炭素資材はすぐには分解しづらいという利点もあったり、農業では問題となっている 窒素過多にも対応できるようなんです。 未熟堆肥で問題が出ないのかまだ時間が要ります。でも、もしこれでバラ栽培がある程度うまくいけば 資材を買う必要がかなり減ってくれるので都合がよいですが〜。 メール届いていました!あとで返事しますね。^^。 けさは自治会の祭りの準備でした。もうすぐ秋もやってくるんだなぁなんておもいます。 昨夜は一時ものすごい雨が降りましたよ。そちらはどうだったでしょう?
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クミン
at 2009-08-25 19:12
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sakiさんといい、AIKOさんといい、着実に土を味方につけておられます。
かくなる上は(?)、私も何かしなければ! とりあえず雑草&落ち葉を積んでるとこの土でもまいちゃおうかな・・・。 そろそろ秋の気配がしていますので、菌が喜ぶ季節ですもんね^^。 >いつも咲いていつも枝を伸ばしている マダム・ジョルジュ・ブルーアン、幸せなヤツです♪
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sakillus at 2009-08-25 22:57
クミンさん、こっちもどうもありがとうございます!
このあやしげな生ゴミ堆肥も悪くない感じがします。こういうのもそれぞれの環境によって適合するかどうか何とも言えないので、自分で実験していくしかないです。 そうそう!、それいいですよ。土になってますね。わたしも山となっているそれをそのうちなんとかせねば! 秋の気配ですよ〜。今日の夕方なんて、鈴虫、大合唱でしたよ。 今年は秋の到来が早いですね。(それなのに蚊は最盛期かも・・・) そろそろ酵母菌も活躍できますね! マダム・ジョルジュ・ブルーアン いやこちらこそホント、ありがとうございます〜! さほど暑くない地域ではすばらしい活躍をみせてくれるよいバラです! またベーサルシュートが出てるんですよ。
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