これはあくまでも我が家のバラ、それも鉢のバラについてです。
春の一番花をたいへん美しく咲いたカフェがその後枯れてしまいました。 また、枯れてはいないものの、調子の出ないグレイ・パールがあります。 微妙な色のバラは、もちろんすべてではないわけですが、繊細な傾向をもつのではとおもいます。 そこで、何度か困った時にお世話になっている、ROSE-SANCTUARYのK e iさんに 今回もご意見と対策を伺いました。 そのやりとりのメールを紹介いたします。 ************************************ saki:バラも丈夫で育てやすいものから、繊細であまり丈夫ではないものまであるとおもうのですが、 K e iさんは、鉢の場合、丈夫でないバラに対して、用土や施肥などで特に実施されていることがおありでしょうか? と、こういう質問をしますには苦い経験があってのことなのですが・・・ 嫌気性ぼかし肥料も、わたしは山野草の育苗にも使っていて、特に問題がないので、ぼかし自体の質が悪いわけではないとおもうのですが、鉢バラで生育がおかしいなとおもう鉢の用土をすこしほじくってみると、 ミミズが数匹いて、これが小さいのでフトミミズなのか、シマミミズなのかよくわからないんです。 同じようにぼかし肥料を施しても、ほとんどの鉢バラは大丈夫なのに対して、一部の気むずかしいバラはミミズがいて、用土も少しじとっとしている感じです。 弱っているバラは根からなにか(有害な虫をおびき寄せる)を出すのでしょうか? 一番花のあと、そういった鉢がふたつあり、ひとつはみるみるうちにキャンカーと思われる症状で 枯れてしまいました。もうひとつは、用土を「赤玉と少なめのバーク堆肥とくんたん」 ぐらいのに植え替えました。これはゆるやかに持ち直しているようです。 K e i(敬称略):……確かに観察は入念に行い、記憶している限りの年数を遡りつつ処置処方はしています。しかし事態が思いがけない方へ進んでからの対策は、実は期待するとおりの効果を上げることは少な くて、やはり先回りしての処方が最大の効果を生むものです。 しかも貴女もよくご存じのように、日照や風通し、保水排水、あるいは耐病虫害性の増進にこそ、薔薇を弱らせてしまわないために最も重要なことがこめられています。 毎日、一瞬でなく、腰を据えて観察をしておられますか? 今回のメール文からわたしなりに感じたのは、上に挙げた基本的なところが、貴女の薔薇においてどうなのだろうかということです。 具体的な品種名を挙げ、できるだけ詳しい情報を知らせていただければ、何か適切なアドバイスができるかもしれません。 具体的なこととして一点、そちらでの現在の最低気温の時間帯はどのくらいありますか? おおよそでよいので、もしわかれば教えてください。標高があるから平地のように短くな いでしょう。 >ミミズもいて用土もじとっとしている ……ネットで各種のサイトを拝見していると、ミミズに対する誤解がかなりあるようですね。 いろいろとミミズのせいにしてありますが、はっきりとした根拠がない方が多い。 じとっとしていることとミミズとの関連は、用土の排水がきわめて悪く、そのためにミミズ糞が長期にわたって腐敗するのでない限り、土を悪化させることにはありません。通気性がよければ糞が腐敗することは100%ありません。 逆であれば彼らが生きていかれない。 ミミズも蛇も嫌いだ、という多くの人の生理的な嫌悪感も理解できます。 しかし土の科学、薔薇の生育とは何の関係もないことです。 ともかく、用土の質に問題があれば手を打たねばなりません。 その場合、一部を新鮮な赤玉土へ変えてから、経過を観察してみるとよいですよ。 薔薇が植わった状態のまま変えるのでかまいません。 それに、薔薇の根が何か有害な生物を呼ぶようなことがあるということも否定しておきます。 呼ぶのではなく、有害な生物、たとえばセンチュウや土壌病原菌の側が、 そこに根があると知ってやって来るのです。 そのとき有益な生物たちが根を守っていてくれるのが普通の状態です。 それを壊すのはしばしば人間です。今回、他に思い当たる貴女の手入れがないのなら、 悲観的になることもないでしょう。 「キャンカーと思われる症状で枯れた」薔薇についても、今度またそのようなことが起きたら、 画像を送ってください。 メール文だけでは正確なところをわかりづらいのです。そして「ゆるやかに持ち直しているよう」に思われる方も、またよかったら経過を知らせてください。 saki:そうでしたか・・・事後の処置はなかなか効果をあげにくく、そうならないための心がけが大事ということですね。 基本的な要素ですが、環境としてはほとんど問題はないとおもうのです。 保水や排水にしてもそうおもいあたるほどのことはありません。 耐病虫害性の増進、そこはどうだったのか?むずかしいところです。 毎日の腰を据えた観察というのは、たしかに一番花のあとは、わたしの新たな仕事の関係で、 日々、早朝からフル稼働しなければならない状態の中で、これまでよりもバラにかけられる時間が減っていたのは否めません。それはもうどうしようもなかったです。 バラへの観察はですから、様子の変化がないか?、株元は大丈夫か?ということに重点をおいて見回っていました。 テッポウムシを見逃すようなことはしていませんでしたが、一つ一つの株にしっかりと相対してというと、それはできなかったというのが正直なところです。 でも、新たな仕事ももう少しで第一段階を終えるでしょう。そうすればまた少なくともこの間よりは落ち着いて向き合えるとおもいます。 剪定の時期にもあたるこの頃、今日はやっとしっかり向き合えることができ、お互いよかったなぁとおもいました。 そして、二つのバラですが、枯れてしまったバラはフロリバンダのカフェです。(K e i さんなら気むずかしくはないと言いそうな気もしますが・・・^^;) 購入は2年前の5月、新苗です。鉢栽培をしていました。 今シーズンの初めごろは枝が2本でした。開花前に1本べーサルシュートが出ました。 それまでの2本の枝からは、あまり多くない数で花が咲き、 新たなシュートは40センチぐらいの高さになり、その先で房状に10輪ぐらい蕾がつき、2〜3輪は摘蕾し、あとはとても綺麗な花を咲かせていました。 カフェは新たなシュートが出ると古い枝が枯れるということがよくあり、今回も古い枝のうち1本は枯れました。 それはまだよいとしても、花後、なんだかあやしい雰囲気になり、みるみる間に株元から黒くなり枯れていきました。 2本同時ではなく多少の時間差はありましたが、あれよあれよという間だったとおもいます。 新しいシュートの花が咲く前に鉢の位置を変えました。より日当たりの良いところになのですが。 もうひとつはグレイパール(HT)です。購入はたぶん3年前の春、新苗です。 これも鉢ですが、今年は花数も少なく、生育もいまひとつでした。去年もあまりぱっとしなかったです。 カフェのことがあったし、生育が良くはなかったこともあり、用土を少しほじくってみたところ、 前のメールで書いたように小さなミミズ数匹がいて、用土がちょっとめたっとした感じでした。 それでこれは無事なうちになんとかせねばとおもい、用土替えしたわけです。鉢は一回り小さな物にしました。 現在の写真です。   たよりない 感じですね。 2枚目の写真でおわかりになるでしょうか。手前の枝元に穴があるんです。 肥料っ気のない用土なので、葉色も薄いですね。そろそろぼかし肥料でも入れてみようかどうか思案中です。 夕べ、計ることができたのは、夜中の12:30で25度、朝はすこし寝坊をしてしまい、5:40で23度、(太陽は昇り始めていました) 6:00では24度です。 推測でしかありませんが、夜中の3時ぐらいには21〜22度ぐらいでしょうか?太陽の昇るまではそのぐらいの温度がつづいていたのではとおもいます。 こういうことがどういう関係に結びつくのか?興味があります。 K e i :カフェとグレイ・パールについて、今回のご説明から少し様子が見えてきました。 しかし「どのような用土に植えたのか」についてもご説明いただかないと、この 薔薇たちの弱っている核心が突き止められません。いつでもいいので、お知らせください。 今回の「シュートが出ると既存の枝が枯れる」および「株元からみるみるうちに 枯れていった」、そして「用土がめたっとしていた」という三つのことから、セ ンチュウ害、それもネグサレセンチュウの可能性があると思えます。そのことと 鉢へ用いた土とが大いに関係ありそうです。ミミズがいたというのも、彼らにと ってはセンチュウの卵もエサとなるので、うなずけるところです。 最低気温については、その数字があいまいなのでまだはっきりしたことは申し上 げられませんが、挙げておられる数字から言えるのは日中との温度差がもたらし ている影響が、最低気温の連続時間帯もさほど長くはないことからもこれらの薔 薇を苦しめている原因を増幅していないだろう、ということです。温度のあれこ れの数字が平地と違っていても、貴女の所が今の時期には平地とほぼ変わらない 環境と考えられます。 欧米や日本の東北の内陸部、山間部では、この最低気温の数字そのものとその連 続する長さが、春であろうが夏であろうが薔薇の生育に大きな影響を与えている ことがわかっています。そして平穏な推移であるはずの平地や暖地全体において も、めったに遭うはずのない気温の推移によって温度差ショックを起こすことが あります。ただ、葉にのみ異常が見えている間は、影響は軽微に済んでいます。 三枚目の写真の「穴」は、カミキリの成虫が出た穴でしょう。それ以外にあのよ うな穴は開きませんし、綺麗な円形であることからもわかります。早急に粘土か 何かで塞いでおいた方がいいですよ。ガムでもいい。 つづく オミナエシはカンカンの日照りでも元気です。
by sakillus
| 2010-09-07 15:32
| 栽培
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Comments(4)
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sakae
at 2010-09-08 14:42
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この文章は何度も読み返し消化しないといけないと本能がささやいてます。
ここしばらくは心落ち着かないのでスルーしま~す。
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sakillus at 2010-09-08 18:50
sakaeさん、込み入っているので、お時間のある時にじっくり読んでくださいませ。
この後もわたしにはちょっと衝撃な分析がありましたデス。
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MiscellaneousOGRs at 2010-09-11 10:02
sakiさん
おはようございます。 sakiさんもご存じのように...以前、 グレイ・パールもカフェも育てていました。 生産者さんから直接聞いたお話なのですが、 ラベンダー・ピオキオなども含めてこの類いの薔薇は 同じノイバラの台木を使って接いでいても 極端に根ばりが弱いのだそうです。 繊細な花色そのもののような弱さがつきまとう。 (肥え切れにも敏感だと聞いています、けれど多肥もダメらしい) カフェはその中でも強い方だと思っていたのですが 一旦、キャンカーが出てからというもの あれよあれよ...という間に枯れてしまいました。 ラベンダー・ピオキオも意外に強いと思うけれど...。 それにしてもようやく涼しくなり始めたかな?とは思いつつ 今年の夏は本当に過酷な夏でした。 そして秋が短くあっという間に冬。 しかも厳冬らしいですよ。 G d D
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sakillus at 2010-09-11 23:10
G d Dさん、こんばんは。
ブルータス・・・みたいですね。^^; わたしだけじゃないですよね? 生産者さんもそう言っていると。ふむふむ。 >極端に根ばりが弱い なるほど、そうでしょう、そうでしょう。 施肥もむずかしいと。 そうなんですよね〜!その辺が本当にむずかしいです。 わたしも何を隠そう、カフェは2本目ですもん。 もう3本目はないかなぁ・・・ ここに来て急に秋めいてきましたね。 ほっとします。 東京や西の方のかた、たいへんでしたね! うちの辺りは不快さはないのですが、日射の強さと水不足でなにしろはらはらしました。 商売用の山野草も管理も初めての夏だったので。 まぁ、葉やけは少し出ましたがなんとかなりました。 厳冬ですか!いやだなぁ。
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