椿 雪舟 小輪一重 松江の薮椿から採取したとのことです。 筒咲きが乱れることなく、花弁のやわらかさを感じることのできる、楚々とした美しさ、 なにげないように見えて心にしみる美しさをもつ椿です。 かなり気に入りました。 .............................................................. ひきつづきメイン仕事の話で恐縮です。 その仕事は隣町藤野の着付けの先生を介してで、ガラス作家であるご本人も何度か着ていた曾祖父さんのきもの、長着と羽織を洗い張りして仕立て直してほしいということでした。 そのひいおじいさんのきもの、表地はそれほどの痛みはないようでした。羽裏は使えそうでしたが、長着の裏地は痛みがかなりで新しいものに替えることにしました。 問題は裄(背中心から袖口まで)ができればあと10センチ欲しいということでしたが、 縫い代があればできるのですが、まずそれだけの縫い代が古いきものであろうはずはないだろうと。 案の定縫い代はぎりぎりしかない、そもそも布の幅が9寸1分しかないというのはかなり狭かった。 ご本人着用のお写真を見せていただき、やはり裄の短さをなんとかしてあげたいと強く思いました。 さてどうする? ご本人はガラス作家さん(アーティスト)ということなので,袖にべつ布をはぐのもありでしょう。 しかし、わたしも他の仕事に追われべつ布を吟味している時間がない。ご本人もフランス行きを前にお忙しい。 そのときピンときました。思い出した、あれが中にあれば! 羽織の衿でした。 羽織の衿は基本的に反物の幅全部を使い折ってできています。ところが中には約半分の幅しか使ってないものもあるのです。 あってくれ! えりをほどくと、よかったありました! べつ布をはぐのは冒険であり,うまくいくかもしれないが、台無しにすることもあるかもしれないのです。それにひきかえ共布は違和感がないはず。 羽織の衿は最低幅が衿幅の3倍あればよい、内側に入る部分はべつ布を足して芯を入れればよいのです。 長さもまったくほぼぴったしありました。羽織と長着4枚分の長さです。 ただし、これを使っても最大で幅6センチぐらいしか出ません。でも、6センチ伸びるとだいぶ違うはずです。 仕立て上がった着物を送り、約束通りフランスでの着用写真をメールで送ってくれました。 ばっちり決まってパリジェンヌにもずいぶんと注目されたようです。 それにしてもこの背景は? ルーブル美術館ですね。 わたしは田村さんのフランスに行く目的は知りませんでした。 まぁ仕事がらみかなぁとは思っていたのですが、 なんと!ルーブル美術館での展示だったのですね。 ご本人のfacebookで記事がありました。 うふふ 普段は着用者のことはほとんど意識しない、わたしは布に向かうだけでどなたがどのように着ようともほとんど頓着しないのですが、 こうして縁の下の力持ち的な仕事ができて、田村さんにも喜んでもらえてうれしかったのです。 その展示は書家 紫舟さんがフランス国民美術協会から日本代表アーティストに選出され、ルーブル美術館に展示した,彼女の書をガラスで表現したものを田村さんがつくったようです。
by sakillus
| 2015-12-23 01:22
| 手縫い
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Comments(13)
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kusuo522 at 2015-12-24 14:44
saki様 いやあ、素晴らしいお仕事ですよ!
仕事に向かう時、だれがその着物をお召しになるのか、頓着しない! 本当にそうあるべきですよね。でもこうやって、ルーブル美術館の前で素晴らしい人に着られた着物を見れるなんて、やはり、仕事冥利につきますよ。 何事も積み重ね、懸命にやることで報われますね。
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hako
at 2015-12-24 21:24
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sakiさん、こんばんは。
そうそう!羽織の衿ですよね! 私も銘仙の(特に長羽織の)衿を解く時はドキドキでした。 衿を触ってみてこれなら行けるか!と思って解いてみて、中から折り畳んださらしが出てきてがっかりしたことも何度あるか…。 銘仙は家で仕立てられたものも多いので、芯やら裏やら本当にあり合わせの生地をつかったものがたくさんありました。 でもいい状態で反幅の衿を取れた時は、どうやってきれいにしてあげようかと慎重に慎重に洗いましたよ。 2mを超える切り目のない生地ですから、もう嬉しくて。 長着の衿の付け方ですが、まっすぐに切り目が入っているものとJの字に切り目が入っているものがありました。 仕立てる人によるのですか?
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hako
at 2015-12-24 21:34
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sakiさん、続けてスミマセン。
イブキジャコウソウというのはグランドカバーに向きますか? 増やしにくいのでしょうか? クリーピングタイムとどう違うのでしょう? 真南の日差しの強い場所なんですが、畑に出る通路に石を敷いてその隙間に香りのするものをグランドカバーにしたいと思っています。 少しは虫除けになるんじゃないかと…甘いかなぁ…。
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kusuo522 at 2015-12-25 10:24
hako様
よそものが、突然のコメントです。 日向のグランドカバーなかなか難しいですよね。私の経験では、ヒメイワダレソウとか、あまり踏みつけないところでは、ディコンドラなどは、どうでしょう。自然に庭石まで這いあがってとても素敵ですよ。冬は枯れますが、こちらでは、暖かくなると、また、どんどんひろがります。サギゴケもすごく広がりますが、どちらかというと半日蔭の方が育つようです。ただし、香りは(?) すみません、答えになっていませんでした。こちらは、南国なので、タイム類はあまり育たないのです。でも、庭歴だけは、長いので、失敗も含めてかなりの経験があります。(失敗の方が多いかも)お役に立つことがありましたら、どうぞ。
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sakillus at 2015-12-25 22:21
kusuo様
どうもありがとうございます! そうですね、布は縫いやすさ,縫いにくさやいろいろありますが、平等に対することはできますね。なにしろ仕上がりがよくないのは自分が一番いやなので、厳しくレベルを維持していれば布の先ある人間様も満足してくれるだろうと思っています。 ありがたいことに常に平常心で布には向かうことができます。 ひとつひとつの積み重ねで気を抜かずになっていけばいいこともありますね。 えへへ^^。
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sakillus at 2015-12-25 22:45
hakoさん、こんばんは。
hakoさんも経験あるんですね! そうそう、半幅に切って,内側にないのもありますね。 >2mを超える そうですね、着物って洋服のように肩ではぐわけではないので身頃も長いし衿も長い、幅こそ広くはないけれど,小物だったらいろいろ使えそうですね。 自分で洗うんですね。わたしはときどき古いきものをいただくことがあるのですが、普段の日常着にしようかなと思うことがあります。そういうのはわたしも自分で洗おうかな! 衿肩の切り方ですね。え〜と、長着においてはプロは基本的にまっすぐです。 次に仕立てることも考え、少しでも無駄にしないことを考慮するとまっすぐのほうが理にかなっています。 Jの字のように、舟底のような切り方のほうが縫いやすいというのはあります。 まっすぐに着ると腕の違いが出ます。 わたしなんかは、舟底に切るひとは、下手なんだぁ、素人臭いと思ってしまいます。近年はプロでも舟底形に切るひとも(そのように教える)あるようですが。 こういうと傲慢に聞こえるかもしれませんが、何十年も前はいろいろな方が縫っていましたよね。普通の家庭の人も縫っていましたし、プロといっても技術の差はあります。本当の職人は「うまい素人」とは歴然と差があるものです。でもって素人臭いJの字には切りません。(こう書くとえらく生意気〜) 羽織やコート等はもう仕立て直すときに身頃の前後を変えることはないのでJの字に切ります。 hakoさん、次のコメントはまたあした!
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sakillus at 2015-12-26 21:28
hakoさん、イブキジャコウソウ、すみません、わたし育てたことないんです。
でも、たぶんグランドカバーに向くとは思います。 うちにはレモンタイムならあるんですが、仲間ですね。 レモンタイムはそこそこ広がりますが、花が終わると一気にだめになっていきます。それで全滅?とおもいきや、少し残ってまた来年そこそこふえるというのを繰り返しています。 タイムは夏の暑さと蒸れに弱いですが、イブキジャコウソウは日本が原産ということなので、比べれば強いんじゃないでしょうか? 日向での背の低いグランドカバー向きってけっこう難しいですよね、あんまりないような。虫除けっていうのを度外視すればランナーでふえるイチゴ系のものんなんかもおすすめできます。蛇イチゴとか。また、ヒルザキツキミソウなんかもよくふえますね。ヒメツルソバもふえます。 イブキジャコウソウ、ワタシもそのうちトライします。^^;
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sakillus at 2015-12-26 21:36
kusuo様
ヒメイワダレソウ、うちにはないのですが、よくふえそうですね。 日向のグランドカバーはわたしもどうしようと考え込んだときがありました。 なんとなく今は埋まっていますが、、、 グランドカバーではないですが、日向だとアヤメの仲間もよく使います。 なにをどうしようかと考えるのも楽しいですよね。 庭歴、長いのですね。植物のことは1年を通しての経験なので、いろいろなことを知るには年月がかかりますが、そういう時間をかけての知識って大切なものっていう感じがしますね。!
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kusuo522 at 2015-12-28 17:06
hako様
先日の邪魔者です。あの後、ネットで調べたら、イブキジャコウソウ、いいかもしれませんね。日本原産とは知りませんでした。 私も勉強になりました。 「阿蘇の麓の本屋の本音」というブログを今年(もう間もなく去年になりますが)9月に立ち上げた71歳のばあさんです。覗いていただければうれしいです。 sakiさんのファンでいつか私もブログをー、と思っていて、ようやくたどたどしくできるようになりました。まだわからないことが多くて、もどかしい思いをしています。 年が明けましたら、ディコンドラやサギゴケの様子もUPします。御参考になれば幸いです。 saki様、勝手にあなたのブログを使って宣伝してゴメンなさい。庭歴は20年位になります。長ければいいというものでもないのでしょうが。 どうぞ良いお年を!
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hako
at 2015-12-28 23:12
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sakiさん、お忙しい所すみませんでした。
タイムはスパイスで売っているものをホワイトリカーにつけ込んでマウスウォッシュにしているので 庭があるなら是非育てたいと思っています。 でもハーブガーデンとかにはしたくないので、日本原産のイブキジャコウソウなんかはどうだろうと思ったのです。 踏みしめて家に入れば、香りで虫も寄らなくなるのかなぁ…なんて甘い考えです。 南側は乾燥と日差しが強いので、やはりそれに耐えられるものになるのでしょう。 この家は、東西南北どこにでも植えられるので、時間をかけていろいろやってみます。 今日、教えてもらったのですがこの土地には椿があまりないのだそうです。 日本中どこにでもあるものだと思っていたのですが、この土地には向かないそうで。 でも、この南側には大きな大きな椿があるのです。 大切にしないといけませんね。
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hako
at 2015-12-28 23:21
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kusuo様
色々と教えていただけるのは、とてもありがたい事です。 なにしろ1ヶ月前に信州に移住して来て、数年間放置されたジャングル日本庭園 を前に呆然としている状態なのです。 以前は東京の家で庭と呼べるスペースは小さなプランター1つ分くらいでした。 これから、伸び放題の松やらなんやら(木の名前すらよくわかりません…涙)に時間をかけて向き合って行こうと思っています。 本屋さんは憧れの職業です。 移住してきたこの町には小さな本屋さんと図書館が1軒ずつあるだけです。 つい「本屋さん(もしくは図書館)になるのはむずかしいのだろうか…」 なんて考えてしまいます。 これからもどうぞよろしくお願いします。
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sakillus at 2015-12-29 08:10
kusuo様
おはようございます。いよいよ今年もあと3日ですね。わたしもようやく 年年内収め仕事が終わりました。 わたしはまだイブキジャコウソウの香りをかいだことはありませんが、 麝香というのは「雄のジャコウジカまたはジャコウネコから取る香料。古くから珍重され、香水の原料。」とあります。 これ、バラにもしばしば出てくる香りで、ムスクですね。ロサ・モスカータの語源です。 ちゃんと調べていないので断定はできませんが、ジャコウソウのジャコウは麝香と考えてもよいのではないか?とすると俄然興味がわいてきます。! やはりそうみたいですね。 みなさまでコメントのやり取りはどうぞ、どうぞです。どうぞお気遣いなく! 庭はいろいろなことを知るには年月がかかりますね。何をするにもでしょうが、、果てがない。そこがまたおもしろいところで。 kusuo様もどうぞ良いお年をお迎えください!
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sakillus at 2015-12-29 08:30
hakoさん、おはようございます。
わたしもやっとこ昨日で年内収め仕事が終わってほっとしています。ふぅ。 タイム、やってみてください。そっちの夏の暑さ,蒸れがどのようなものかわかりませんが、やってみないとわかりませんものね。 わたしはずいぶん失敗もしたのですが、失敗もしないとわからないのです。 そのうちいろいろわかってきて、想像もできるようになります。 イブキジャコウソウ、上に書いたように麝香の匂い、わたしも興味あります! これは栽培的にもいけそうな気がします。 日向のグランドカバー的にエリゲロンなんかも強いですよ。園芸品種の洋種の菊ですが。 椿、そうなんですか! 土質が向かないのかなぁ・・・椿はあまり寒い土地ではだめかもしれないけれど、温度的には大丈夫だろうと思うのでやっぱり土質かなぁ? 椿はどちらかというと日本海側に多いですね。 中国からのものだと思います。 hakoさん、kusuoさんは庭のサイトを見つつ、わたしが政治的な発言をするのもあって、見てくださったようなのです。 kusuoさんのお父さまは北御門二郎さんといって、トルストイの翻訳者として有名な方です。また、第二次世界大戦のとき、「良心的兵役拒否」をされた反骨精神の方です。お嬢様であるkusuoさんにもその精神はしっかりと受け継がれているようです。^^。
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