わが庭で咲いてくれた薔薇、たいがいどの薔薇もわたしのこころに何かを残すものでありますが、その中でも特別に想う薔薇がいくつかあります。 それはその年によって違います。 今年の場合それがなんだったかとあげることはじつはわりにつらいことです。 あげなかった薔薇はそれほどでもなかったのかと問うとずきんときます。 なんとも歯切れの悪い言い方です。 そこで適当にぼかしておいて、それでも特に、特にこころにひっかかった薔薇を少しあげようとおもいます。 Ayrshire Splendens ( Hybrid Arvensis) 別名 Myrrh-scented Rose この薔薇は別名ミルラ センテド ローズの名の示すが如く、ミルラの香りがきわだっている、とおもいます。 ミルラの香りがどういうものなのか、実際のところよくわかっていないのですが、イングリッシュローズの中にはミルラ香の強いものがーたとえばフェア・ビアンカとかトロワラスとかーあるようですが、エアーシャー・スプレンデンスを知ったあとでは、それらは純粋なミルラ香ではなく、ほかの、はちみつのような香りが混ざっているとおもいます。 それに比べてこのエアーシャー・スプレンデンスは、まことにきっと純粋なミルラ香がするといえるのではないかと、その匂いを嗅いだ時におもいました。 透明感の漂う甘く濃密な良い香りです。 そしてこの花! さほど大きくはなくころんとした形、淡く深みのある色、後ろ姿もまたかわいくて・・・ Rosa arvensis plena と花の形は似ていますが、これはさほど香りは強くありません。 だったらやっぱりAyrshire Splendens ! 薦めてどうするってなものですが・・・ この香りはヨーロッパの方はなつかしく想うのではないだろうかとなんとなくおもい、近所のスイス人のヴェロニカさんに持っていったところ、やはり懐かしい香りがすると言っていました。 ヴェロニカさんの実家ではお母さんが薔薇をお好きだったらしく、たくさん育てていらっしゃったのです。 ところで、スイスと日本の、切り花にしてからの花持ちの違いについて。 これはたしかにあるようです。この時期、日本においては一日か二日しかもちませんが、スイスではもっともっていたと言います。 その辺りは開花までになにか影響するものがあるのでしょうね。 注) エアーシャー・スプレンデンスはあまり雨はお好きではないようです。 後半、雨にあてられた蕾は咲くことができずにかたまったままのものが少なくありませんでした。 苗を買って2年目の今年はたくましいシュートが出ました。 つるバラの扱いです。
by sakillus
| 2008-06-18 01:33
| 薔薇
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Comments(7)
ミルラ香は解からんです(汗
元々露地植えの薔薇は切り薔薇のように切ってからの寿命は長く無いのが本当らしいです。 (やっぱ日本じゃそうなのかもね) 日本の土壌ではそうなのかもねぇ (って何がだって突っ込み入れられそう)
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saki
at 2008-06-18 08:07
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sakaeさん、この薔薇を機会があったらぜひ嗅いでみてください!
珍しいバラだけど花フェスタにあるかなぁ? ちなみにわたしはsakaeさんの師匠の一人?の〜○ぶるさんのオークションで買ったのよ。 >露地植えの薔薇は寿命は長く無いのが本当 なるほど。それが普通だと。 では、たまに長く保ってくれるものに感謝しなければね。 アリスター・ステラ・グレイは長いですね。その意味でも優れていますね。 あと、この間オノリーヌ・ドゥ・ブラバンも長かった。 >日本の土壌ではそうなのかもねぇ そうかもねぇ・・・(普通の反応) sakaeさん、4時って宵っ張りなのか早起きなのか・・・?お化けも寝るよ。 べつの角度からつっこんでみました〜。
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sakae
at 2008-06-18 16:28
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あらもうそんな時間だった?
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sakillus at 2008-06-18 20:52
sakaeさんはいつ眠っているのでしょう・・・
わたしは先日まですくない睡眠時間でがんばっていましたが、このところ反動で眠いです。
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MiscellaneousOGRs at 2008-06-19 00:51
こんばんは、sakiさん。
さて...今年も沢山の薔薇に出逢う事ができましたが 中でもダントツに印象に残っているのがこの薔薇なんです。 小さな花束が(枝を離れたあとも) あんなに鮮烈に香るなんてビックリでした。 『衝撃的な香り』といっても過言ではありません。 蒼く...濁りのない湖の底を覗き込むような...そんな印象でしょうか。 どれか一本挙げよと云われたなら即答する事ができます。 『Ayrshire Splendens』だと。 あの日、手許へ引き寄せなかったのは理由がありまして まずつる薔薇だということ。そして庭を整理しようと思っていること... このふたつが入り乱れて踏み止まったという訳なんです。 僕はつるの性質を持って生まれた薔薇を 短くこんもりと仕立てるのが実はあまり好きではありません。 この薔薇がどのようなつるの性質を発揮するのか... それは育て方や環境によって、可能性は如何様にも無限大ですね。 今年は色んな意味で薔薇とのつき合い方を考えさせられた春でした。 素敵な薔薇をご紹介くださったこと。 いつか(と考えるのはとても楽しい事ですよね?)この薔薇を育てる日が来ること。 その時まで...僕はただひたすらに憧れ続ける事でしょう。 G d D
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sakillus at 2008-06-19 15:37
こんにちは、G d Dさん。
そうですか!ダントツに印象に残っていますか。 G d Dさんならきっとお気に召すとおもっていました。 >『衝撃的な香り』 ですよねぇ!ミルラ自体はふくよかなのに、そうですね、濁りのない湖の底のように 透明感のある純粋な香り。ふくよかさと純粋さが両者せめぎあってちょうど折り合いのよい地点で香りをはなっているというのでしょうか。 今後、どんなに香りのよいバラが生まれるとしても、このバラはひとつの臨界点でしょうね。
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sakillus at 2008-06-19 15:38
G d Dさん、つづきです。
>つるの性質を持って生まれた薔薇を 短くこんもりと仕立てるのが実はあまり好きではありません。 そうおっしゃるG d Dさんのお考え、すごくよくわかるとともにじ〜んときますね。 地植えはいろいろな意味で楽なんですよ。鉢では制限がありますから、わたしも鉢だけだったらいろいろ 悩むとおもいますねぇ・・・ 人間と薔薇の歴史って「人間の欲望と薔薇の歴史」という面があるとおもいます。 限りない育種や栽培方法も欲望のひとつのあらわれではありますよね。 それでも、ひとが薔薇を愛する限りなにか方法も可能性もあるはずですよね。お互い寄り添えば。 (ちなみにこの薔薇だったら朝顔のようにあんどん仕立てとか・・・たはは・・・) 憧れ、想い続けてきっといつか育ててくださることでしょう!
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